先週末1月25日(金)の日経平均終値は2万773円となりました。前週末終値(2万666円)からは107円高、週足ベースでは3週連続の上昇です。

 前回のレポートでは、「日経平均は戻りの助走を見せている」と指摘し、結果的には先週も戻り基調が続いたわけですが、何か注意すべき変化や兆候が現れたのでしょうか? まずは日足チャートで足元の状況から確認です。

■(図1)日経平均(日足)とMACD(2019年1月25日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の日経平均の値動きを振り返ってみると、週初の21日(月)は一段高でスタートしたものの、その後は失速する展開でした。ローソク足の並びは陰線2本に陽線3本が続く形となり、これら5本の線を一つにまとめると、下ヒゲの長い陰線になります。

「下方向に押されたものの、頑張って値を戻した」格好で、力強さはありませんが、買いへの意欲は残されている印象です。

 また、5本のローソク足が週を通じて25日移動平均線を維持している他、この25日移動平均線を5日移動平均線が上抜けるゴールデンクロスになっていることも前向きに捉えてよいと思われます。

 下段のMACDも0円ラインを上抜けしつつあります。25日移動平均線がまだ下向きなのが気掛かりではありますが、比較的堅調だったと言え、まだ距離のある75日移動平均線をトライできる状況は維持していると見ることができます。

 ただ、先週は取引がイマイチ盛り上がらず、東証1部の売買代金を見ると、活況の目安とされる2兆円を超えたのは、週末の25日(金)だけでした。様子見ムードが強い面もあったわけですが、その背景にあるのは、世界景気減速に対する警戒感の再浮上と企業決算の動向待ちになります。

 週初の21日(月)に公表されたIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しでは、2019年の世界経済成長率予想を3.5%と、前回(2018年10月)時より下方修正した他、同日発表された中国の実質GDP(国内総生産)についても、2018年通年で前年比6.6%と28年ぶりの低い伸びとなりました。

 そして、企業決算についても今週は注目企業の決算発表が目白押しです。

 国内では任天堂をはじめ、ソニーやファナック、東京エレクトロンなどが控える他、米国でもアップル、アマゾンやフェイスブックなどが予定されています。さらに、中国のアリババ集団や韓国のサムスン電子も決算発表を予定しています。

 とりわけアップルについては、年初に売上高の下方修正見通しを発表し、「アップル・ショック」という見出しが踊るなど、株式市場にネガティブ・インパクトを与えた経緯があり、企業業績の動向が今週の相場を大きく動かしそうです。

 もちろん、ある程度の業績後退については、昨年12月の株価急落ですでに先取りしたとの見方は強いのですが、やはり大きく株価を上昇させるには、ショックに打ち勝つだけのポジティブ・サプライズが必要になりそうです。